河川氾濫では比較的リスクが低く見える新札幌周辺も、内水氾濫のハザードマップを見ると景色が変わります。大谷地東の道路冠水を例に、身近な浸水リスクを確認します。(2026.08.30記)
ハザードマップを見てみよう

「厚別区は、大雨が降っても水害の心配はあまりない」
新札幌駅周辺に住んでいる人の中には、そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、河川が氾濫した場合の「洪水ハザードマップ」を見ると、厚別区内では山本地区など、厚別川や豊平川などの下流域を中心に浸水リスクが高くなっています。
一方、新札幌駅周辺をはじめとする厚別区の市街地では、河川氾濫による浸水リスクが比較的低い地域も少なくありません。
ところが、もう一つ注意しておきたいのが「内水氾濫」です。
今回は、札幌市の「浸水ハザードマップ(厚別区版)」を使って、新札幌駅周辺や大谷地周辺の内水氾濫リスクを確認してみました。
「ここも浸水する可能性があるの?」
そんな場所が意外と見つかります。
「河川の氾濫」と「内水氾濫」は別もの

まず、ここを整理しておきましょう。
大雨による水害には、大きく分けて「河川があふれる“洪水”」と、「雨水を下水道などで排水しきれなくなる“内水氾濫”」があります。
札幌市のハザードマップでは、内水氾濫について、「下水道で雨を排水しきれず発生する浸水」を想定しています。
つまり、近くに大きな川がなくても、大雨の降り方によっては道路や低い場所に雨水が集まり、浸水する可能性があります。
近年、全国各地で短時間に猛烈な雨が降るケースが増えています。
「川から離れているから大丈夫」
とは限らない、ということです。
まずは新札幌周辺の「内水氾濫避難地図」を見てみる

札幌市発行の「ハザードマップ」の上に、任意の施設名等を記載しました。
こちらが、札幌市のハザードマップをもとにした新札幌駅周辺の内水氾濫避難地図です。
今回は、市の地図に掲載されている学校や公共施設だけでなく、普段の生活で目印にしやすい飲食店、病院などを加えてみました。
例えば、「ラーメン大王」や「セイコーマート」、「下野幌高台公園」など、普段から目にする施設を基準にして見ると、地図の内容が少し分かりやすくなりますね。
「0.3m未満」でも、実際には道路が冠水することがある
この地図を見ると、青や水色などで着色された場所がかなり広いことに気付きます。
札幌市の内水氾濫避難地図では、浸水の深さを、
■1m以上3m未満(赤色)
■0.5m以上1m未満(青色)
■0.3m以上0.5m未満(水色)
■0.3m未満(薄緑色)
の4段階で表示しています。
ここで注意したいのは、「0.3m未満だから大したことがない」とは限らないということです。
例えば道路であれば、数十センチの水でも、車の走行に影響することがあります。
2026年8月20日、大谷地東で道路冠水

札幌市発行のハザードマップに任意の場所を書き込みました。
そして実際に、2026年8月20日には厚別区大谷地東付近で道路が冠水する状況が確認されています。
今回、その場所をハザードマップ上にマーキングしてみました。
8月20日の大谷地東周辺の道路冠水については、Xにも現場の様子を撮影した投稿がありました。
投稿では、「南郷通、冠水っぽくなってるから気をつけて…!」と注意を呼びかけています。
また、投稿者は車種によっては通過できず、迂回が必要だった可能性についても記しています。
こうした実際の街の様子とハザードマップを重ねて見ることで、地図上の「青い色」が、少し現実味を持って見えてきます。写真が撮影された「洋服の青山」前は、緑色の浸水想定「0.3m未満」に加え、道路沿いは水色の「0.3m以上0.5m未満」に色分けされています。
また、大谷地流通センター(白石区)の「ニチレイ・ロジスティクス北海道 札幌大谷地物流センター」周辺でも冠水した状況がエックスに投稿されていました。
もちろん、ハザードマップは「この場所が必ずこの深さまで浸水する」という予報ではありません。
あくまで一定の想定条件による浸水リスクを示したものです。
それでも、「ハザードマップで着色されている場所で、実際に道路冠水が起きた」という事実は、普段の防災意識を考えるうえで、一つの参考になるのではないでしょうか。
新札幌駅周辺にも内水氾濫による浸水想定「0.5~1m」「1~3m」の表示がある

ラーメン大王とセブンイレブンの間の道路は水があふれやすい
そして、今回あらためて地図を見ていて気になったのが、新札幌駅周辺にも比較的深い浸水が想定されている場所があることです。
例えば、「ラーメン大王」の横の道路をはじめ、その付近には「0.5m以上1m未満」とされている場所があります。
さらに、「北央病院」の裏手には「1m以上3m未満」の浸水想定区域もあります。改めて、冒頭でご覧いただいた図面を表示します。

札幌市発行の「ハザードマップ」の上に、任意の施設名等を記載しました。
地図上で見ると、決して新札幌駅から遠い場所ではありません。
もちろん、これは「ラーメン大王の横が必ず1m浸水する」といった意味ではありません。
浸水想定区域は、想定最大規模の降雨など一定の条件に基づいて作成されています。
札幌市では、内水氾濫について想定最大規模の降雨を対象として浸水区域を想定・公表しています。
「大雨のとき、この道路や場所は危険になる可能性があるんだな」と理解しておくことが重要です。
「自分の住んでいるところ」を一度確認してみよう

北央病院の裏手「羊ヶ丘病院附属リハビリクリニック」周辺も要注意
今回の記事で一番お伝えしたいのは、ここです。
ハザードマップは、災害が起きてから見るものではありません。
札幌市も、ハザードマップを使って自宅などの位置に印を付け、内水氾濫・洪水・土砂災害の危険度を把握し、避難方法を確認するよう案内しています。
例えば、自宅、勤務先、子どもの学校、よく通る道路などを地図上で確認してみてください。
すると、「この道、雨の日によく水がたまるな」。「ここは低くなっているから、大雨のときは避けたほうがよさそう」といった、自分なりの「危険ポイント」が見えてくるかもしれません。
内水氾濫の怖さは、河川氾濫とは少し違います。
大きな川が決壊するような災害でなくても、短時間に大量の雨が降れば、普段歩いている道路や、車で通る道路が突然通行しづらくなる可能性があります。
今回、大谷地東で実際に道路冠水が発生したことも、そのことを考えるきっかけになりました。
そして、ハザードマップを見ると、大谷地だけが特別というわけではありません。
0.3m未満、あるいは0.3m以上0.5m未満の浸水が想定されている場所は、新札幌周辺にも広く存在しています。
つまり、「大谷地だから危ない」という話ではなく、「新札幌周辺の私たちの生活圏でも、同じようなことが起こり得る」と考えておくことが大切なのではないでしょうか。
まずは「知る」ことから始めよう

新札幌駅周辺は、河川氾濫だけを見ると比較的リスクが低いように見える場所があります。
しかし、内水氾濫という別の視点から見ると、浸水が想定されている道路や地域は決して少なくありません。
そして、実際に2026年8月20日には大谷地東周辺で道路冠水が発生しました。
「新札幌周辺でも、こういうことが起こる可能性があるんだ」と知っておくことが必要です。
そのうえで、「大雨のときは、この道を避けよう」など、万が一の際の行動を想定しておくことができます。
この機会に、あなたの家の周辺もハザードマップで確認してみてはいかがでしょうか。
リンク:浸水ハザードマップ(厚別区版)
【ご注意】
本記事の地図は、札幌市が公開している「浸水ハザードマップ(厚別区版)」をもとに、「新札幌情報ハンター」が一般の方にも分かりやすいよう、周辺施設などを加えて作成したものです。浸水想定は一定の降雨条件などに基づくもので、実際の浸水範囲・深さを保証するものではありません。防災に関する最新情報や避難情報については、札幌市などの公式情報をご確認ください。
スポンサーリンク